高齢者の脱水は見逃しやすく危険【チェックすべき9つのサイン】

介護施設の看護師
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こんにちは(^ ^)

介護施設で働くゆるふわ看護師 すのです。

高齢者の脱水症は症状が分かりにくく、見逃されてしまうことも多いです。

先日、私の勤務する介護施設の利用者も、ちょっと調子が悪く食欲がないなぁと一晩様子を見ていたら、急激に意識がもうろうとし状態が悪化。大至急病院へ受診したら「脱水症」でした。

対応も早かったおかげで、何とか大事には至りませんでしたが、ちょっとヒヤッとしてしまいました。

脱水は命に関わるほど危険な病気です。症状が分かれば対処しやすいのですが、高齢者ははっきりとした症状が出ない時も多いので、まずは周りの介護者が脱水について知っておくことが大切です。

ここでは、高齢者に多い「脱水症」について、対策と予防法を書いていきたいと思います。

 

脱水にならないように、予防することも大切ですよ

 

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高齢者に多い脱水症とは

脱水症とは、身体から水分と塩分が不足した状態のことを指します。

体の水分量は、小児では体の約70%、成人では約60%、高齢者では約50%を占めています。

身体の水分は、酸素と栄養素を運んだり、尿や汗として老廃物を体の外に出したり、汗により体温を調節するなどの重要な働き持っています。

脱水症になると、血液の量が減り、血圧が低下。必要な栄養素が体に行き渡らなくなり、不要な老廃物を排泄する力も低下します。

食欲不振などの原因にもなります。さらに、骨や筋肉から電解質が失われることで、脚がつったり、しびれが起こることもあります。

また、血液が濃縮されて血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも高まります。

脱水のサインを見逃さず、症状が疑われるときは医療機関に相談しましょう。

 

なぜ高齢者は脱水になりやすいのか

なぜ高齢者は脱水になりやすいのか、説明していきます。

喉の乾きを感じにくく水分摂取量が少ない

高齢になると、喉の渇きを感じにくくなります。そのため、水分を摂らなくなり、じわじわと脱水になっていきます。

特に冬場は、夏に比べ喉の乾きが無くなります。

また運動量も低下するので、喉も乾きません。

高齢者は「汗をかいていないから」「じっとしているから」「喉が乾かないから」とよく言われます。

周りの介護者も、夏より水分摂取に気をつけなくなるので要注意です

 

食事の摂取量も少なくなると、食事から摂る水分量も減るので全体的に水分が減少します

加齢に伴い、身体の水分量が少なくなる

体の水分量は赤ちゃんは70~80%あるのに比べ、高齢者は約50%になっています。

高齢者は水分を体に蓄えておく筋肉量や、腎臓の機能も低下しています。

元々の水分量が少ない為、高齢者はちょっとしたことでも脱水を起こしやすい状態です。

 

様々な薬を飲んでいる

心不全や高血圧などの持病がある人は、体の外に水分を出す薬を服用しているため要注意です。

また便秘で下剤を飲んでいる人も水分が排出されるため、リスクが高まります。

 

脱水かな?と思ったら観察すべき9つのサイン

何だかおかしいな?と思ったら、次の事を観察して見ましょう。

肌が乾燥している

脱水症の初期症状として、肌が乾燥しカサカサしてきます。

腋の下は普通の人はしっとりと汗をかいて湿っていますが、脱水になるとカサカサになり乾いていますので、一つの目安にもなります。

 

手の甲をつねって持ち上げて見て、すぐに皮膚が元の状態に戻らない場合や、
爪の先を押して見て、白色からピンクに戻るまでに3秒以上かかる場合は脱水を疑います

 

唇が乾燥して皮が剥けていたり、口の中も乾いている

こちらも肌の乾燥に伴い、唇が乾燥しガサガサしていたり、皮が剥けていたり、酷い場合は唇が切れて出血していたりすることもあります。

また口の中も、唾液の量が減り乾燥し、舌もカサカサして亀裂ができていることがあります。

 

食欲がない

脱水になると、唾液の量が減り味覚障害や咀嚼機能の低下も引き起こします。また脱水の倦怠感からくる食欲低下も疑われます。

最近、水分量も少なく食事量が減ってきたと思われる場合は、脱水している可能性もあります。

元気がなく、ぐったりしている

「何となく元気がない」「ぐったりしていて反応が鈍い」というよう場合にも脱水の可能性があります。倦怠感や、疲れやすいなどの症状が出ます。

症状が進むと、めまいや意識障害も引き起こしますので、注意が必要です。

 

体温が高い

脱水症になると、体温が上がることもあります。

発熱したり、微熱が続いている場合は要注意です。

 

血圧が低くなり、脈が速くなる

体内の水分量の減少によって、血液量も減少し血圧が下がってきます。それらを補うため、身体中に血液を送れるよう、脈は速くなります。

ちょっとおかしいなぁと思ったら、血圧や脈もチャックしてみましょう。

 

立ちくらみや、意識がもうろうとする

脱水による血液量の減少で、脳への血流も少なくなります。

そのため立ちくらみやめまい、重症になると意識障害も引き起こしますので注意が必要です。

 

排尿の回数や量の減少

脱水になると、尿の回数や量がいつもより少なくなります。また尿の色が濃くなっているのも、脱水が進んでいたり、水分不足の可能性があります。

 

下痢や嘔吐が続いている

下痢や嘔吐が続いている場合も要注意です。下痢や嘔吐によって、毎回水分が失われていきます。

最近調子が何だか悪くて、下痢や嘔吐が続いている方は脱水も疑ってみて下さい。

 

脱水になった場合の対処法

脱水症の症状が現れたら、脱水状態を重症化させないことと、脱水によって生じた症状を和らげることが大切です。ふらつきによる転倒にも注意しましょう。

 

嘔吐・意識障害・けいれんなど重度の症状が現れた場合は、速やかに医師の診察を受けるようにしましょう

 

まずは水分補給を

市販の経口補水液は、塩分や糖分など電解質が含まれていますので、体内への吸収も早く便利です。

一気に飲ませるのではなく、少しずつゆっくり時間をかけて飲んでもらうとより効果的です。

温度も常温のものが良いです。

ただし病気により、糖分や水分制限がある人は、主治医に相談しましょう

 

温度や湿度を調整しましょう

高齢になるにつれて体の機能が低下し、温度変化を感じにくくなります。服装や寝具による調節もこまめに行いましょう。

普段から、温度だけではなく湿度も適度にコントロールすることも意識しましょう。

 

皮膚の保湿を

皮膚が乾燥していると、痒みが出てきてかいてしまい、掻き傷からバイ菌が入り感染してしまうこともあります。

保湿剤や、リップクリームなどで皮膚の保湿に心がけましょう。

 

高齢者の脱水は日頃から予防しよう

脱水は起こる前に、予防することが大切です。脱水は夏のものと考えられやすいですが、特に高齢者は上記の理由から年間を通してリスクがあります。

高齢者の効果的な水分補給法として、1日の水分摂取量1500mlを目安とし水(お茶など含む)以外にも料理や汁物でも補給することで1500ml以上の水分摂取が見込まれます。

喉が乾く前に飲むのようにしましょう

水分のとり方としてコップ1杯程度(200ml程度)を、朝起きた時、朝食、おやつ、昼食、おやつ、夕食、寝る前などの補給を習慣化しておきましょう。

1日6~8回くらいに分けて飲むといいでしょう。

また、食事は汁物の多いメニューにする、手の届くところに飲み物を置いておき、いつでも飲めるようにする等の工夫も必要です。

 

すのナース

嚥下障害などで飲み込みづらい人は、とろみをつけたり、ゼリーなどを利用し水分補給に努めましょう

 

まとめ

高齢者は様々な理由から水分がとりにくくなっています。

「喉が渇いてから」ではSOSが間に合わないかもしれません。水分の補給は栄養補給と同じくらいに重要なのです。

高齢者の脱水症は、症状がわかりにくく、周りの介護者も見逃してしまうことが多いです。

もし、「いつもとちょっと違うなぁ」と脱水を疑われるようであれば、早めの対処が大切になってきます。脱水は命を落とすこともあります。

さらに食事は、できるだけバランスの良い食事を心がけて頂きたいものです。いくら水分を補給しても貯蔵するための筋肉も減ってしまっては元も子もありません。

水分摂取とともにおいしく食事をいただいて健康的に過ごしていきましょう。