高齢者の便秘対策。介護する人にやって欲しい事【介護施設の看護師】

介護施設の看護師
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こんにちは(^ ^)

介護施設で働くゆるふわ看護師 すのです。

高齢者の体調管理をしていて、看護師がもっとも多く携わるのが「排便コントロール」ではないでしょうか。

高齢になると、加齢による身体の機能低下や生活習慣などより、便秘になる傾向が強くなります。

便秘は本人にとっても不快な事ですが、特に高齢者の便秘は身体的な病気を引き起こすだけでなく、精神的ストレスから不穏や不眠になったり、更にはうつ病になってしまう事もあります。

また慢性的な便秘は、認知症のリスクにもなると言われています。

下剤を毎日飲んでいるのに、なんで出ないのかしら

すのナース

高齢者は下剤だけでは、難しい場合もありますよ

昔は毎日出ていたのに、3日出ないと気持ちが悪いわ

すのナース

生活習慣で便秘が改善できる事もあるから、試して見てください

 

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高齢者に多い便秘

どんな状態を便秘と言うの?

便秘とは一般的に、3日間排便がない状態のことを言います。

また、定期的に排便があっても、「1回の量が少ない」「排便後もまだ残っているようでスッキリしない」「コロコロした硬い便が多い」などの症状も、便秘または予備軍だと思って下さい。

 

便秘には種類がある

便秘と一口に言っても、様々な種類に分けられています。

どのタイプの便秘かによって、病院では下剤が処方されます。

便秘って奥深いのね〜

機能性便秘

慢性急性に分けられます。

「高齢者の便秘」は慢性便秘の方が多いでしょう。

慢性便秘は主に3つに分けられます。

これらの中でも、高齢者は「弛緩性便秘」が多いと言われています。

 

弛緩性便秘大腸の蠕動ぜんどう運動が弱くなったり、筋力が低下して便を押し出すことができなくなったりすること
痙攣性便秘ストレスにより自律神経が乱れて、腸の運動がひきつったようになり、便の通りが悪くなる。下剤の乱用で、腸が過剰に蠕動運動をすることでも起こり、下痢と便秘を交互に繰り返すこともある
直腸性便秘便が直腸(肛門の手前)まで運ばれているにも関わらず、便意が脳に伝わらないために起こる。便意を我慢し過ぎたり、浣腸を乱用したりすることが主な原因ともなる

 

 

器質性便秘

器質性便秘の主な原因は、腸自体の病気が原因になる事を言います。

大腸の疾患で腸管が狭くなったり、また、先天的大腸過長症などで腸の長さや大きさに異常が生じ便秘になります。

器質性便秘は、原因となる疾患を治療すれば改善しますが、先天性の異常が原因の場合は、便秘と上手くつきあっていく方法を考える必要もあるでしょう。

 

便秘は万病のもと、侮る事なかれ

便秘になると、便が長く腸に停滞した状態になります。

その影響で、腸のバリア機能の低下、お腹が張り食欲が落ちる、炎症や感染症、栄養不足をきたすリスクが高くなります。

また、イライラや便秘が悩みになるなど精神的ストレスも出てきます。

高齢者の場合、精神的ストレスの影響が大きく、夜間不穏や不眠につながり、更にはうつ病や認知症になるリスクが高まります。

介護施設においても、排便に執着している利用者は多く、1日排便が無いだけでソワソワしてしまい、繰り返し何度も「下剤が欲しい」と訴えてくる方も少なくありません。

その結果、日常生活が円滑に過ごせなくなるので生活の質を低下させることにつながるのです。

 

中には介護士に黙って、処方の下剤では満足せずに、家族が持ってきた市販の下剤を隠れて乱用している人もいて、思わずゾッとした経験も何度かあります。

また、便秘による不穏で、夜間徘徊を始める人も珍しくありません。

それほど、高齢者にとって排便管理は重要になるのです。

 

高齢者の便秘対策として、介護する人にやって欲しい事

便秘は下剤で改善するのも一つの手ですが、日常から便秘にならないよう予防する事が大切です。

日常生活で予防できることはたくさんあります。

私たち看護師も、便秘が続く方には浣腸や摘便(指を肛門に入れ便を出す)もします。

しかし高齢者は、皮膚や血管が弱いので、直腸を傷つけ感染したり、痔からの出血などのリスクもあるので、できるだけ自然に排便があるよう説明しています。

下記のことを根気強く実践していただければ、便秘予防に効果があると思いますので、介護する方にぜひやって欲しいと思います。

 

腸の病気などで、日常生活の改善だけでは便秘が解消しない場合もあります。
長期に便秘が続く場合は、自己判断せず主治医に相談しましょう。

水分をたくさんとる

これが一番です!スムーズな排便を促すには、水分が必要不可欠です。

ただでさえ高齢者は水分摂取量が減り、水分不足になっています。

水分不足は便を腸内で硬くし、便秘になりやすくなります。

そのため、意識をして水分をたくさん摂取するように、周りの介護者が気をつけなければいけません。

 

すのナース

「毎食後や、おやつの時間は必ずコップ一杯のお茶を飲む」と言う様に決めておけば、水分管理もしやすいですね!

 

また水分摂取が進まない方は、食事にスープなど水分が多いメニューにしたり、昆布茶や生姜湯など嗜好に合わせて飲み物を工夫しても良いかもしれません。

 

心臓や腎臓の持病により、水分量や塩分量の制限がある方もいます。
また糖尿病の方は、コーヒーやジュースなどの糖分にも注意が必要です。
持病がある場合は自己判断せず、1日の水分量を主治医に相談しましょう

 

規則正しい生活と食事

規則正し生活をすることで、まずは排便習慣を身につけることは大切です。

また高齢になると運動不足になりやすく、体が求める必要エネルギー量も減り食事量が減りますのでバランスを考えた献立の工夫が必要です。

便秘解消の為には食物繊維の多い食材やヨーグルトなどの乳酸菌をとり腸内の善玉菌を増やすことを意識することも大切です。

食物繊維の多い野菜を中心にすると、便がやわらかくなり、腸が刺激され蠕動運動が起きやすくなります。ほかに脂肪、果物、海藻などもメニューに採り入れましょう。

 

ベッドで寝たきりにさせず、適度に運動する

運動不足は新陳代謝が落ちたり筋力低下につながり、便秘の大きな原因になります。

適度な全身運動をすると、腸に刺激が与えられ、便秘解消に効果的です。

高齢者の場合、激しい運動は不要ですが、散歩や体操などの軽い運動でも効果が期待できます。

介護施設などでは、ベッド上で生活しがちになりますが、なるべく日中は体を起こし、椅子に座る習慣をつけます。

また寝たきりの方でも、横になったまま手足を動かす運動や腹式呼吸をすることができますね。

できれば、ベッドから離れリクライニングの車椅子で少しの間だけでも体を起こしてもらうと、更に効果的です。

 

食後など定期的にトイレに座ってもらう

食後など決まった時間に毎日トイレに座ると言うことはとても大切なことです。

例えば朝食をすませた後にトイレに行くという習慣をつけます。

最初は、おそらく便は出ないかもしれません。

根気強く、毎日同じ時間にトイレに座ってもらうと、少しづつ排便できる様になったという経験を、私も何度もしています。

またトイレに座ると言うことは、踏ん張りやすくなるのです。

私達も、寝たまま便を出せと言われても、お腹に力を入れにくく難しいですよね。

ましてや、筋力の低下した高齢者なら、なおさら踏ん張るのは難しいでしょう。

このように決まった時間にトイレに行く習慣をつけると、体がそれを覚え排便しやすい状態が作れることができます。

 

お腹を温めたり、マッサージを行う

お腹を暖かいタオルなどで温めたり、マッサージを行うことで、腸の動きを促し排便につながりやすくなります。

入浴も体が温まり、腸だけでなく、全身の血行も良くなりリラックスしますので、便秘予防には効果的です。

持病がある方は、主治医に相談して行う様にしましょう。

 

高齢者は皮膚の感覚も鈍くなっているので、高温でも熱いと感じず、気づいたら火傷をしていた!なんて事もあります。また電気毛布やカイロも注意が必要です。高齢者の低温ヤケドは毎年多発しています。必ず、介護者の観察の元に行って下さい。

 

まとめ

高齢者の介護において、便秘予防はとても重要になります。

つい便秘になると、下剤など薬に頼ってしまいますが、便秘は日常生活の中でも十分に防ぐことができます。

私達、看護師は浣腸や摘便をすることはできますが、される側は苦痛ですし痛みも伴います。

また感染症などのリスクもあり、できるだけ自然に排便してもらうのが一番です。

そのためには、介護をしている方に、上記に挙げたことを根気強くやっていただきたいと思い紹介しました。

すぐには効果が出ないかもしれませんが、毎日の積み重ねれば少しずつ成果が出てきます。

しかし、腸の病気などで、日常生活の改善だけでは便秘が解消しない場合もあります。

長期の便秘が続く場合は、迷わず主治医に相談しましょう。