こんにちは(^ ^)
介護施設で働くゆるふわ看護師 すのです。
親の介護はある日突然やって来て始まります。育ててくれた親の為とはいえ、毎日介護をしながら生活していくと、どうしても疲れがたまってきます。
特に寝たきりの方や、認知症を患っている家族の介護は24時間休み無しです。夜中のトイレ介助やおしめ交換、早朝の起床介助、日中は飲み込みやすい特別なご飯を用意したりと休む暇もありません。これを家族だけで賄うのは到底厳しいです。
国は介護する側のケアについても指針を出しています。それほど介護疲れは深刻で、救済する必要があるのです。今回は介護する側のケアについて書いてみます。
介護サービスを上手に活用すれば、家族も息抜きできますよ
適度な息抜きは、介護する側もされる側も笑顔になれるね
「レスパイトケア」とは?
「レスパイト」とは息抜きや小休止という意味で使われます。
レスパイトケアとは介護の必要な高齢者のいる家族へのさまざまな支援のことを言います。家族が一時的に介護から解放され休息し、心身疲労や共倒れなどを防止することが目的です。介護サービスでは主にデイサービスやショートステイなどがあります。
なぜ介護は疲れるの
介護疲れには主に2種類の原因があり、これらが合わさり慢性的に疲れてしまいます。
身体的な疲れ
介護は基本的に肉体労働で、プロの介護士でも腰を痛めたり、不規則な生活で疲れがたまり体調を崩します。それを家族だけでやっていくのは、身体的に大きな負担になります。
身体介助の種類をあげてみると
- ベッド上でおしめ交換
- トイレ介助
- 入浴介助
- ベッドから車椅子などへの移動介助
- 食事の用意や介助
これらを毎日何度も繰り返します。
無理な姿勢で腰を痛めたり、また夜間も関係なく頻繁にトイレに行ったり、おしめを変えたりと寝不足による体調不良も引き起こし、疲労困憊です。
- ベッドで寝ている状態から起こして座らせる
- 座っている状態から、抱えて車椅子に移乗する
- トイレについたら車椅子から抱えて立ち上がってもらう
- 手すりに掴まってもらい、パンツを下ろしてあげる
- 便座にゆっくり座らせる
- 排泄が終わったら、抱えて立ち上がらせる
- パンツを上げて服を整える
- 車椅子に移乗し、ベッドに移動
- ベッドについたら、抱えて車椅子からベッドに移乗し座らせる
- 座っている状態から、ベッドに抱えて寝かせる
その間、パンツに失禁があったり、座るまでに間に合わず漏れてしまうことも多々あります。その際はさらに着替えや洗浄も加わります。
トイレだけでも、1日に何度もこれらのことをするのですから、肉体的に疲れが溜まるのは当然です。
また家族も、子育てしていたり、仕事をしながらの介護をしている人も少なくないでしょう。このような状態だと、介護疲れが出て当然ですね。
精神的な疲れ
介護を続けていると、この状態がいつまで続くのだろうと、終わりの見えない生活に不安や精神的な疲れが出てきます。
また介護にはお金もかかりますので、人によっては金銭的なストレスもかかってきます。
育ててくれた親の介護とはいえ、人は疲れてくると判断力も低下し、「早く死ねばいいのに」など、良からぬ思考も生まれてきます。
特に認知症の方の介護は、危険行為や徘徊、便をいじる不潔行為、ティッシュなどを食べる異食など、24時間休みなく目が離すことができません。精神的に振り回され追い詰められます。
介護疲れが引き起こす負の連鎖
介護者の心理的・肉体的ストレスによる体調不良
ストレスは生き物にとって様々な影響を及ぼします。介護中の無理な姿勢による腰痛は代表的なものです。そのほか、夜間の介護による寝不足による不調。食欲低下や過食。めまいや動悸。やる気の低下など鬱症状。挙げればキリがありませんが、体調不良はまず最初に出る疲れの警告です。
小さな異常を見逃すと、どんどんストレスがたまり取り返しのつかないことになってしまいます。
介護者による虐待
近年、ニュースなどでも取り上げられています。疲れによるストレスがたまり、正常な判断ができなくなって虐待に至るケースが増えてきています。
また家族の介護のことは、なかなか他人には相談しにくいこともあり、一人で抱え込んでしまい鬱になることもあります。
認知症の方は、何度教えてもすぐに忘れてしまう。子供の顔も覚えていない。お金がなくなった、お前が盗ったとののしられる。そうなると正常な判断ができなくなり、縛り付けたり、殴ったり、介護放棄をしたり、殺人まで至ることもあります。
親に手を挙げるなんて、と思われる方もいるでしょうが、それほどまでに追い詰められるのが介護疲れがなのです。
レスパイトケアの具体的なサービス
介護者が、体調不良や虐待を起こさないようにする為には、まず休んでもらうことが一番です。
気分転換をしたり、自分だけの時間を過ごしたりと、適度に介護から距離を取ることも大切です。リフレッシュすることによって、より良い介護ができ、介護する側もされる側も笑顔でいられるのです。
在宅介護における、レスパイトケアの介護保険サービスは、主にこの2つです。
デイサービス
デイサービスは、日中施設で過ごします。ほとんどの所が送迎もしてもらえるので、特に家族の用意もいりません。主に、食事や入浴、レクリエーションやリハビリを各個人に合わせたメニューを提供しています。
朝出かけてから夕方帰るまでは、安心して預けることができます。その間、家族は自分の時間を持つことができるので、思い切りリフレッシュすることができるでしょう。
デイサービスには看護師もいますので、急変時にも対応し体調に不安な方も安心です。
デイサービスは最近増加傾向で、それぞれの事業所が個別性を出す為に、外食やミニ旅行、お祭りなどのイベントも企画しているところも多いです。場所や利用時間など家族に合ったデイサービスをケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。
ショートステイ
ショートステイは一定期間高齢者を預かり、日常の見守りや食事の提供などをおこなってくれる宿泊型の介護サービスです。
たとえば家族旅行や、出張や冠婚葬祭で数日間家を空けなければならない場合など短期間の宿泊に向いていて便利です。
特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、ある程度大規模な施設に併設されているケースが多く、利用は1泊2日から、最大30日間連続で滞在することができます。
人気のサービスということもあり、希望の日程には満床で受け入れてくれないケースも多いので、ゴールデンウィークなどの連休や年末年始などは早めに相談する方が良いでしょう。
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まとめ
今、「高齢者への虐待」が問題になっています。その背景には介護する側の「介護疲れ」が原因なことが多いです。特に認知症の方の介護は24時間休むことができす、介護者のストレスは並々ならぬ物でしょう。疲れてしまうことだってあります。
ストレスによる悪影響を防ぐ為には、介護者の休息やリフレッシュ(レスパイトケア)が必要だと言われています。まずは一人で悩まず、ケアマネさんに相談し、デイサービスやショートステイの利用も考えてみてください。
介護する側が倒れてしまわないよう、無理のない家族介護を実現していくためのレスパイトケアはより重要なものになっていくでしょう。